サーンチー第1ストゥーパ北トラナ(門) 

                                                           インドの仏教美術概略年表

 第1ストゥーパのトラナは、サータヴァーハナ朝時代(1世紀始め)に南、北、東、西の順で建てられた。トラナにほどこされた彫刻は、インド古代美術の精華である。

四つのトラナの中で、最も保存状態がよい北トラナ(高さ 約9m)

一番上の横梁の上、中央に半ば破損した円環、人物をおいて、左右に立つ法輪はブッダが始めて説法を行った「初転法輪」を象徴している

北トラナ(門)南側柱のヤクシー
北トラナは、巡礼者が最初に接する門で、古都ヴィディシャー方向に向く 北トラナ(門)北側柱のヤクシー(背面)

トラナには、インドの女性形の民族神であるヤクシーが飾られている。ヤクシー(ヤクシニーともいう)は森や樹木に棲む女の精霊で、地母信仰に根ざした守護神

横梁の端には渦巻きの彫刻がほどこされている。その上に獅子の彫像がたつ

下段横梁のヴェッサンタラ本生の浮彫(表面)

横梁は三本あり、特に下段の表裏に刻まれたヴェッサンタラ本生(為し難い布施を実践した太子の話)は、浮彫の最大主張箇所となっている

  角柱(支柱)のレリーフ

ブッダが出家するきっかけとなった四門出遊(宮殿を出発する王子) ブッダ(左下の菩提樹と宝座)と父 淨飯王(じょうはんおう)の再開

父 淨飯王(じょうはんおう)との再会時に空中に浮いて軌跡を見せた。菩提樹の上の石板は、ブッダの存在を示す(写真:右上)

ブッダ(聖樹と宝座)に蜂蜜を入れた鉢をささげる猿

ストゥーパの創建当時、仏像は作られていなく、菩提樹や法輪・宝座・仏足石などで、ブッダをシンボルとして表した

母 マーヤー夫人に説法した後、三十三天(忉利天)より降りるブッダ 仏塔を礼拝にきた半身半鳥のキンナラと楽団の天人達

角柱の最下段に刻まれた仏足石

仏足石をブッダのシンボルとして表している

 北トラナ(北塔門)ヴェッサンタラ本生浮彫                 アジアの宗教美術と博物館!

「石の絵本」ともいわれるレリーフの彫刻はブッダにまつわる色々な説話や仏伝図が刻まれている

浮彫りを担当したのは古都ヴィディシャーに住む象牙職人であったことが残された銘文により明らかにされている

(撮影:2003年12月29日)