マトゥラー(Mathura)美術(2)

 マトゥラーは、ニューデリーの南南東 約140Kmに位置する。ガンダーラとほぼ同時期に仏像が初めて造られた所で、作品は

 近郊のシークリーに産出する黄白班のある赤砂岩が使われている。その為、特徴が歴然とし判明が容易にできる。作風は、

 ガンダーラと全く異なり純インド様式で、グプタ期に至るまでインド美術を主導した。また、ヒンドゥー教のクリシュナ信仰の中

 心地としても、よく知られている。

 マトゥラー美術(2) 王侯と守護神(ヤクシー・ヤクシャ)像

カニシュカ王立像(2世紀、マート出土、砂岩、高さ 163Cm、マトゥラー博物館)

カニシュカ王立像は、頭部と両腕を欠失する。スキタイ族の服装で、スカート状の衣服の上にマントを羽織り、長靴をはいた両足先を左右に開いて立ち

右手を、こん棒の上に置き、左手で剣の柄を握っている。正面下方に「大王、諸王の王、神の子カニシュカ」の銘文があり、極めて貴重。・・・・

スキタイ族王侯 立像(砂岩、マトゥラー博物館) ヴィマ・カドフィセス王倚像(マート出土、高さ208Cm、マトゥラー博物館)

右上のヴィマ・カドフィセス王とみられる王像は、頭部を欠損するが、筒袖の遊牧服に身をかため、大きな長靴をはいて、獅子を両端に配した椅子に腰かける

ブッダ像を崇拝するクシャナ王の碑文(123A.D、マトゥラー出土、砂岩、プリンス・オブ・ウェールズ博物館)

獅子像(3世紀、砂岩、高さ 94Cm、マトゥラー博物館) 獅子像(3世紀、砂岩、ニューデリー国立博物館)

獅子像は、建物入口あるいは門の両側に置かれるため、正面性が重視された。獅子は、釈迦族のシンボルとしても知られている

ヤクシャ像 (2世紀、砂岩、マトゥラー博物館)

ヤクシー像(砂岩、マトゥラー博物館) 欄楯柱のヤクシー像(砂岩、マトゥラー博物館)

ヤクシーは樹木に宿る精霊であり、女性の出産が豊饒と結びつけられ、欄楯柱に刻まれることが多い

ヤクシー像 (砂岩、マトゥラー博物館)

ヤクシー像(2世紀、カルカッタ・インド博) 欄楯柱のヤクシー (2世紀・カンカーリー・ティーラー出土、ニューデリー国立博物館)
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払子をもったヤクシニー 古代初期の欄楯(らんじゅん) 浮彫(BC-1世紀、マトゥラー博物館)
(前3-前2世紀) -
本生図と踊子像の欄楯柱(前2-前1世紀、マトゥラー博物館) 欄楯柱のヤクシャ像 (ニューデリー国立博物館)

マトゥラーでは、古くから守護神ヤクシャやヤクシーが信仰されてきた。左上は、踊子が両手に条帯を持ち、舞踊する姿で豪華な装飾品を身に

つけている。上部に円形浮彫があり、ブッダ前世の物語が刻まれている。なお、豊満な乳房や陰部の表現は、この女神の豊饒吉祥を象徴している。

 マトゥラー(Mathura)美術(2) 諸宗教の彫刻          アジアの宗教美術と博物館!

ヤクシャ立像(パールカム出土、シュンガ朝) テラコッタ(シュンガ朝、マトゥラー博物館)

左上、パールカム出土のヤクシャ立像(像高 225Cm、マトゥラー博物館)は白色砂岩製の男神像で、マトゥラー最古の石造遺品。

両手を欠失し、耳飾り・首飾りをし、胸に帯を巻く。下半身に腰布を巻き、腰帯が腹にくい込む。以前は、前3世紀の作と考えられて

いたが、像の特徴からシュンガ朝時代(前2世紀初~前1世紀後半)の制作と考えられるようになっている。・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(撮影、マトゥーラー博物館:2000年5月7日)