現在のパキスタン北部、ペシャワール周辺域をさす古名 ガンダーラ(犍駄羅)に栄えた古代美術。ガンダーラ美術にはヘレニズム・ローマ系、
イラン系遊牧民、インド系諸美術が様々に融合する。彫刻は石彫が主流で、黒青色片岩や緑泥片岩が多く使われている。
仏像は、1世紀前半~中頃に成立したとする見解が有力で、マトゥーラと共に仏像の起源とされている。
ガンダーラ美術(7) 仏教レリーフ
シクリ・ストゥーパの仏伝浮彫(シクリ出土、2-3世紀、ラホール博物館)
シクリ・ストゥーパ(小塔)の鼓胴部をめぐり、一組(13枚)の仏伝浮彫が完存する。これは、ガンダーラ仏塔の荘厳や図像配列を見せる唯一の例品
シクリ・ストゥーパ(復元、ラホール博物館) | 初転法輪(しょてんほうりん) (片岩、プリンス・オブ・ウェールズ博物館) |
右上のレリーフは、仏陀が悟りを開いて後、サールナートで初めて説法を行った場面。台座には、法輪と鹿が刻まれている。
左側にストゥーパがあり、仏陀に関する物語を彫っている (プリンス・オブ・ウェールズ博物館) |
托鉢を受けるブッダ (プリンス・オブ・ウェールズ博物館)
仏陀に付き従う金剛手 (ニューデリー国立博物館)
金剛手は、古くインドラの異名として知られ、仏典ではヤクシャの王として知られる。執金剛(しゅうこんごう)、持金剛の名で呼ばれ、
仏陀を守護し、異教徒を威嚇する役割が与えられる。ガンダーラにおいて、金剛手は仏陀につき従う護衛者として表現される。・・・
シュラーヴァスティーの神変 (写真:右上)(プリンス・オブ・ウェールズ博物館)
シュラーヴァスティーは仏陀が安居を過ごすことが多く、布教に関して多くの伝承が伝わる。
蓮華座に坐し禅定印を結ぶ仏陀は、仏教に敵対する外道達と神通力を競った。その際、様々な奇跡を起こし
外道達を圧倒した。左右に各三体の化仏は千仏の化現を表し、神通力を競った一々の奇跡を起こしした。・・
DEPARTURE OF MAYADEVI FROM KAPIRAVASTU FOR HER FATHER'S PLACE(左側)(プリンス・オブ・ウェールズ博物館)
修行者との対話(プリンス・オブ・ウェールズ博物館)
仏陀涅槃像 (プリンス・オブ・ウェールズ博物館) |
チャイティヤ形浮彫 仏伝図 (ニューデリー国立博物館)
花綱を担ぐ小人 (ニューデリー国立博物館)
花綱は、花や葉を編んで綱状に作ったもので、ヘレニズム時代には建築装飾のモチーフとして一般化した
花綱を担ぐ少年(タキシラ博物館)
花綱の谷の部分には、有翼の天使を配している。この花綱文様は、仏塔を飾ったものと推測されている。
ガンダーラ美術(8) 神々と供養者 他 アジアの宗教美術と博物館!
花綱を担ぐヤクシャ (プリンス・オブ・ウェールズ博物館)