現在のパキスタン北部、ペシャワール周辺域をさす古名 ガンダーラ(犍駄羅)に栄えた古代美術。ガンダーラ美術にはヘレニズム・ローマ系、
イラン系遊牧民、インド系諸美術が様々に融合する。彫刻は石彫が主流で、黒青色片岩や緑泥片岩が多く使われている。
仏像は、1世紀前半~中頃に成立したとする見解が有力で、マトゥーラと共に仏像の起源とされている。
ガンダーラ美術(6) 菩薩(Bodhisattava)像(2)
菩薩は、悟りを求める者、衆生を救うために修行を行う者のことで、仏陀とは異なり、豪華な装身具を身にまとった王族の姿で表される。
髪を束ねて、手に水瓶を持つのは弥勒菩薩、頭部にターバン冠飾をつけるのは釈迦菩薩、あるいは観音菩薩。観音菩薩は、手に蓮華
や花綱を持ち、ターバン冠飾に化仏(けぶつ)を表す例がある。
菩薩立像上半部 (片岩、タキシラ博物館)
両手を欠損する。頭髪を∞形に結う束髪としている
弥勒菩薩立像(2-3世紀、片岩、ニューデリー国立博物館) | 弥勒菩薩立像(ニューデリー国立博物館) |
どちらもニューデリー国立博物館蔵の作品で、手に水瓶を持つことから弥勒菩薩と判断できる
弥勒菩薩立像(2-3世紀、片岩、プリンス・オブ・ウェールズ博物館) | 弥勒菩薩立像 (プリンス・オブ・ウェールズ゙博物館) |
プリンス・オブ・ウェールズ博物館の菩薩像は、小振りで比較的美しい仏像を中心にそろえてある
菩薩立像 (プリンス・オブ・ウェールズ゙博物館) | 菩薩坐像 (プリンス・オブ・ウェールズ゙博物館) |
菩薩頭部(片岩、ニューデリー国立博物館)
ガンダーラ美術(7) 仏教レリーフ アジアの宗教美術と博物館!
弥勒菩薩立像(プリンス・オブ・ウェールズ博物館) | 菩薩交脚像(プリンス・オブ・ウェールズ博物館) |
右上の菩薩像は、胸前で転法輪印を結び交脚倚坐(こうきゃくいざ)し、台上に裸足をのせる。交脚倚坐の姿勢は、遊牧民の王の坐り方に由来するといわれている。