アマラーヴァティー(Amaravati)の美術

                                                             インドの仏教美術概略年表

 アマラーヴァティー(Amaravati)(インド、アーンドラ・プラデーシュ州)

  アマラーヴァティは、インド南東部のアーンドラ・プラデーシュ州グントゥール県にある小さな町。大規模なストゥーパの遺構とたくさんの浮彫が

  出土した。ストゥーパは直径49mという巨大なもの。マドラス州立博物館と大英博物館に大規模なコレクションが存在する。

  アマラーヴァティーの最盛期は、バールフトの浮彫(前1世紀初期)、サーンチーの浮彫(後1世紀初期)に続く2世紀中期で、これらの浮彫りは

  、石灰岩の肌合いを生かした南インド独特の繊細な作風になっている。

アマラーヴァティー大塔の基壇側面を飾った石版の浮彫り

(2世紀後期、アマラーヴァティー出土、石灰岩、172×168Cm、マドラス州立博物館)

アマラーヴァティーのストゥーパは、基壇四方に長方形の張出しの台を設け、それぞれに「アーヤカ」と呼ばれる五本の列柱を立てた。

南インドのストゥーパの形は、上記の列柱(アーヤカ)を立て、さらに入口には塔門(トラナ)を設けなかったことが特徴として知られている

石版最上部の仏伝レリーフ(別石で彫られ時代は下がる

石版 上部

ストゥーパ欄楯柱の浮彫装飾(2世紀後期、アマラーヴァティ出土、石灰岩、幅85Cm

                     (ニューデリー国立博物館)

欄楯柱浮彫部分 占相

シッタダールタ王子(後のブッダ)が誕生すると父王は、アシタ仙人を招いて王子の将来を占わせた。

向かって左側に父王、右にアシタ仙人、王子は仙人が膝上に載せた布上の足跡で表現されている。

   

欄楯柱の浮彫装飾

欄楯柱 踊る矮人(ガナ)達 の浮彫(2世紀後期、アマラーヴァティ出土、石灰岩、マドラス州立博物館)

中央の矮人の上にはマカラの文様がみられる

仏立像(サータヴァーハナ朝、石灰岩、マドラス州立博物館 欄楯柱 開敷蓮華文様の浮彫

アマラーヴァティーの仏像様式は、その後の南インドやスリランカの仏像様式のモデルになった

法輪(仏陀の象徴的表現)を礼拝する人たち(2世紀後期、石灰岩、マドラス州立博物館

開敷蓮華文様の浮彫(サータヴァーハナ朝、石灰岩、マドラス州立博物館

中央に蓮実(れんじつ)を表し、その周辺に小さな蓮弁をぎっしりと円環状に五重に取り囲む。外縁は、華文、唐草文で取り囲む

花綱をかつぐ人物(2−3世紀、アマラーヴァティー出土、石灰岩、マドラス州立博物館

欄楯柱笠石の断片で、ガンダーラにでよくみられるモチーフだが、ここではインド化されたものになっている

礼拝者たち(2世紀後期、アマラーヴァティー出土、石灰岩、マドラス州立博物館

仏足石(仏陀を表現)の前で、極端に屈曲させる表現もアマラーヴァティーでよく見かける

覆鉢の装飾石板(2−3世紀、石灰岩、ニューデリー国立博物館 ライオン柱頭(石灰岩、マドラス州立博物館

左の装飾石板は、上段から花綱をかつぐヤクシャ、満瓶蓮華(多産と豊饒の象徴で水の満ちた瓶から蓮が生じる意匠)の装飾、一段おいて左向きの三頭のライオン

基壇飾り板「ストゥーパ供養」(2−3世紀、石灰岩、ニューデリー国立博物館)

上部が欠損しているが、このページ最上段の写真と同じく、当地のストゥーパの構造を忠実に写していたと思われる

仏陀の姿が表現されている場面と、仏足石や馬上の王子など象徴的に表現されている場面があり、表現方法が混在している(場面は、下の拡大写真参照)

基壇飾り板「ストゥーパ供養」中央出入口部分 基壇飾り板「ストゥーパ供養」 欄楯の大蓮華とヤクシャ

ストゥーパ中央出入口部には、二個の大円形があり、上方はシッタダールタ王子の出家踰城の部分(王子は表現されない)、下方は都卒天での説法の場面

基壇飾り板「ストゥーパ供養」基壇部分

二頭のライオンに挟まれた中央長方形の区画の部分には、仏陀が坐し、周りに供物を持った女性が立っている

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仏伝レリーフ(2−3世紀、石灰岩、ニューデリー国立博物館)

仏像のない時代、ブッダは法輪や玉座・仏足石といったシンボルで表された

アマラーヴァティーにおいては、仏像が表現されるようになっても象徴的表現が混在していた。

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