アジャンター(Ajanta)後期石窟寺院 第1・第2窟

 ワゴーラー川に面した断崖に30の窟群が並ぶ。窟群中の後期ヴィハーラ窟(僧院窟)は、大小21あるが、 第1・第2・第16・第17窟が代表

 としてあげられる。 後期窟は5世紀後半から6世紀初頭 にかけて順次造営されたものと見られている。

 後期ヴィハーラ窟(僧院窟)の特徴は、奥壁の中央に前室と奥室からなる仏堂が設けられ、通常両脇侍を伴う三尊形式の仏像が祀られた。

 後期チャイティヤ窟(祠堂窟)同様、後期ヴィハーラ窟(僧院窟)においても、仏像が中心的位置を占めようになった。仏像の形式は、薄物の

 着衣には襞がなく肉体が透けて見えるサールナート様式の仏像に近い。

 また、第1・第2・第16・第17窟の各ヴィハーラ窟の側壁、天井、柱などの一面に描かれた壁画は、グプタ朝美術を色濃く反映した絢爛・豪華

 な彩色壁画で、インドの古代絵画を代表する。

アジャンター 石窟寺院全景

馬蹄形の向かって右側から、左側にかけて1〜15窟、15A窟、16〜20窟、29窟、21〜28窟

 第1窟 後期ヴィハーラ窟(僧院窟) (5世紀後半)

  第1窟は、壁画が特によく遺っているので有名。アジャンターの壁画といえば第1窟。

アジャンター後期ヴィハーラ石窟寺院 第1窟(5世紀後半)

蓮華手菩薩 (第1窟 462〜500年頃)

蓮華手観音菩薩像(5〜6世紀)右手に青蓮華をもつ。「麗しの菩薩」の異名を持つ、第1窟中の傑作

金剛手菩薩 (第1窟 462〜500年頃)

本生図、宮廷生活の場面

  

右の写真は、「マハージャナカ本生」の一場面 <潅水をうけるマハージャナカ王>(462〜500年頃)・表現に、遠近法が取り入れられている

第1窟  天井の画

  

 第1窟  柱頭と壁面のレリーフ

第1窟 側面の列柱

 第2窟 後期ヴィハーラ窟(僧院窟) (5世紀後半)

  前期窟では、僧の居住空間に用いられたヴィハーラ窟は、後期窟では、この第2窟のように仏堂が取り付けられ仏像が本尊として祀られた。

第2窟  仏堂

転法輪印(ブッダの説法を象徴する印)を結んだブッダ像が納められている

   

五指を伸ばし手を垂らす、与願印(衆生利益の慈悲を意味する)の仏像がずらりと並んでいる

第2窟 釈迦誕生(上右は釈迦の母、マーヤー夫人。下は傘をさしかけた梵天と宝冠をかぶった帝釈天がシャカ族の太子を抱く)


、石壁のレリーフ

                   天井の壁画、

壁画は、本生譚や仏伝などの仏教説話図で埋められている

    

 ブッダ像と下からのライトに照らされた壁面のブッダのレリーフ

第2窟 仏堂前室右壁壁画 千仏(6世紀初期)

 アジャンター後期ヴィハーラ窟(僧院窟) 第17窟             アジアの宗教美術と博物館!

石窟内より入口方向を見る

(撮影:2004年1月4日)